こんにちは、ゆきちです。
我が家の最高齢の猫、くろくんは現在御年14歳の保護猫なのですが、12歳の頃に初めて「肛門嚢炎」を発症してしまいました。
肛門嚢炎や肛門嚢破裂は、あまり聞きなれない病気ですが、猫なら誰にでもなりうる身近な病気です。
- 肛門嚢炎や肛門嚢破裂とは、いったいどんな病気なのか?
- 肛門嚢炎や肛門嚢破裂を発症するきっかけや原因は?
- そしてその治療法や予防法は?
などについて実際のくろくんの経験からお話していきます。
実際に表れた症状や、治療経過中の患部の写真(見たくない人はスルー出来ます)、治療費の詳細な内訳もご紹介していますので、是非参考にして頂ければと思います!
早急に対応できるようにするために勉強しておきましょう!
くろくんは、日頃から便秘に悩まされています。
便秘はこの病気に関わってきますので、便秘に関する記事をまとめてみました。
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肛門嚢炎・肛門嚢破裂ってどんな病気?
肛門嚢炎(こうもんのうえん)とは、簡単にいうと、猫ちゃんの「肛門嚢(こうもんのう)」という器官に炎症が起こる病気です。
肛門嚢破裂(こうもんのうはれつ)とは、文字通り、肛門嚢が破裂するという現象です。
猫ちゃんの体のしくみ
肛門嚢(こうもんのう)とは、名前の通り猫ちゃんの肛門の近くに2つ存在していて、肛門腺から分泌される液体を一時的に貯めている場所です。
大体の場所は矢印の先あたりに存在しています。
肛門嚢炎・肛門嚢破裂とは
この肛門腺から分泌される液体は、猫ちゃんがうんちをするときに一緒に排出してマーキングしたり、驚いたりしたと同時にぴゅっと排出されたりします。
しかし、野生で生存している猫に比べておうちで飼っている猫ちゃんは、この分泌液を排出する機会が少ないようで、この液体がどんどん蓄積されて濃縮していき更に分泌されにくくなっていきます。
その溜まった分泌液の中で細菌が繁殖し、炎症が起こります。
これが肛門嚢炎(こうもんのうえん)です。
症状がさらに進むと、分泌液を肛門嚢の容積内に貯めることができなくなり、最終的には破裂してしまい、中から血や膿のようなものが放出します。
これが肛門嚢破裂(こうもんのうはれつ)です。
どろっとした粘液が出る子や、固体が出る子など、猫それぞれによって異なるようです。
猫の肛門嚢炎・肛門嚢破裂の兆候・初期症状
- 痛みで鳴きわめく
- うんちが出にくい
- 突然走り出す
- お尻を気にする
- 肛門周辺の腫れや赤み
といった行動がみられます。 参照:子ねこのへやさんより
うちでは、1番最初にり患した際は、全然こうした兆候に気付きませんでした。
というのも、くろくんは、もともと便秘持ちで、日常的にこんな行動はよく見ていたのです。
だから異常だとは思いませんでした。
また加齢により以前ほどスムーズに排便ができなくなったことにより、慢性的な便秘に悩まされていました。
そのため、いつもトイレにいくときは鳴いており、なかなかでないため1日に十数回トイレに入ります。
力みすぎてか、嘔吐することもしばしばでした。
よって、「いつもの便秘だ」としか認識できておらず、肛門嚢に異変が起きているなんて微塵も思いませんでした。
くろくんの便秘解消のために色々と試してみた奮闘記をまとめてみました
この兆候を見るあたり、いつもの便秘の症状に隠れて、肛門嚢炎を発症していたシグナルが出ていたのかもしれません。気づいてあげられませんでした。。。
肛門嚢炎・肛門嚢破裂を発症したときの猫の状態は?
私が異変に気付いたのは、くろくんが執拗にお尻付近をなめていたからでした。
しかも、かなり何度もなめていたからでしょう、そのなめているところの毛がはげており白い地肌が出てきていました。
それで「これはおかしい」と気づき、よく見てみると、何やらおしりにぽっかり穴があいていて、そこから内部の粘膜が赤く見えていました。
なので、一番初めは、脱腸しているのかなと思いました。
まるで肛門から腸(粘膜のようなもの)が出ているように見えたのです・・・
昔、脱腸している猫ちゃんを動画でみたことがあります。それに似ていました。
しかし、ふと上をみると、肛門がありました。(笑)
そう、おしりに2つの穴があったんです・・・
その瞬間、私はてっきり大事なところが破れていると思いました・・・笑(くろくんは男の子です)
とすぐに病院へ走りました。
どうやら炎症を起こすと、猫ちゃんはとてつもない痛みに襲われるようです。
そのため、猫ちゃんはしっぽのつけ根あたりやお尻を舐めたり、咬んだりするようです。
猫ちゃん自身でなめたりかんだりすることで、自ら膨らんだ肛門嚢を破裂させることも多く、獣医さん曰く、肛門嚢が破裂してから気づくケースの方が多いとのことでした。
そしてそれを見た飼い主さんはやはり、「お尻を誰かに咬まれた!」とか、「お尻に何かが刺さってケガをした!」などと思い、病院に連れていくケースが多いようです。
いつも抱っこする時にお尻をかかえてあげるのですが、その時に「にゃっ」と嫌がっていたんです。
でもわりと日常的に「にゃっ」って鳴くことがあるので、抱っこが不服なのかな~くらいで、たいして異変だとはその時は気づかなかったんです。
今思い返すと、くらいのレベルでしたね。
肛門嚢炎・肛門嚢破裂になる原因は?
私の通っている獣医さんは、はっきりとした原因はこれとは言えない、とおっしゃっていました。
いつなるかならないかも具体的にはわからず、一生ならない子もいれば、体質によっては何度か再発する子もいるといわれました。
うちのくろくんも飼い始めて6年が経ちますが、この病気になったのは12歳の頃が初めてだったので、おそらく再発の心配はないでしょうとのことでした。
が・・・その後、くろくんは3度も再発しました・・・約半年に1度のペースで罹患しています(´;ω;`)
そのときの症状や治療法はこちらに記載しています↓
体験談│猫の肛門嚢破裂が3回再発した…症状や処置法、治療中の状態や費用についてのお話
肛門嚢炎(肛門嚢破裂)になる原因として考えられる可能性を調べてみたところ、
- 目詰まり
肛門嚢(こうもんのう)は通常、中の分泌液を排便と共に排出するのですが、その際に通る管が目詰まりし、排出が滞ることでなることがある - 生活習慣
日頃の運動量が不足していると、骨盤周辺の筋力が低下して効率的に肛門嚢(こうもんのう)を絞れなくなることがある - 肛門絞りを怠ったため
分泌液を自力で排出できない猫でも、飼い主が定期的にお尻のチェックをして肛門嚢(こうもんのう)を絞ってあげれば、炎症に発展することはない
とのことでした。 参照:子ねこのへやさんより
これをみてくろくんの肛門嚢炎を発症した可能性を考えるに、年を取って運動量が格段に減っていることと、食事制限と加齢によって便秘ぎみになったことが関係しているのかなと思います。
この6年、定期的に肛門嚢を絞ったことはなくてもその間なんともなかったですし、他の猫たちも絞っていませんがこの病気になったことはないので、おそらくこの2点かなと考えました。
実際、くろくんは便秘で病院に通院している際にまた肛門嚢炎が再発しました。
くろくんは、飼い始めて6年目で初めてこの病気になり、その後半年ベースで3回再発しています。(計4回破裂)
「6年間何ともなかったのに、なぜこんなに急に頻発するようになったんだろう・・・」とずっと疑問に思っていました。
しかし、そういえば、ちょうどこの1年の間に便秘にも悩まされ始めた頃のことだったのです。
よって、先生の話から、便秘になったことで、排せつの際に排出されていた肛門嚢からの分泌液が以前のようには排出できなくなってしまい、そのせいで肛門嚢炎や破裂を引き起こしたのだなと合点がいきました。
肛門嚢炎・肛門嚢破裂の具体的な治療法
くろくんが行った病院では、一目見ただけですぐに肛門嚢炎だと診断されました。
私は大事なところが破れたと思っていたのであたふたしていましたが、先生は、
「あー、肛門の横あたりですよね?はいはい、大丈夫ですよ」
と、結構よくあることのようにおっしゃっていて、あれ?重病ではないのかな?と少し安心しました。
そう、あれはだいじなたまたまではなく、肛門嚢がぱんぱんに腫れていたんですね。
先ほども記述しましたが、大体の子は肛門嚢が破裂した状態で飼い主さんが連れてくるようなのですが、うちのくろくんはまだ破裂していなかったようです。
実は、破裂した方が痛そうだなと思うのですが、先生曰く破裂する前の方が痛く、猫ちゃん的にも破裂させた方が楽になるようです。
ですので、くろくんはまず、針で穴をあけられ絞るようにして中に溜まっている膿を出すという処置をされました。
(これが想像しただけでとっっっても痛そうで、私が悶絶していました)
痛みにとても強く、そして温厚なくろくんが、うなったりシャーシャー威嚇したり・・・よほど痛かったのでしょう(´;ω;`)ウッ…
といいつつ、その後3回もなるのですが・・・(泣
くろくんが痛がりながらも、先生がある程度絞り出してから、
「まだ少しの間は液体などがおうちでも出るかもしれませんが、驚かないでくださいね~」といわれ、その日はお薬として抗生物質を出されて終了しました。
日にちが経てば自然と治ってくるとのこと。
ほんとかよ~と思うくらいのひどい傷だったので、心配しつつもその日は1週間分のお薬をもらって退散。
ついでに便秘のことも相談し、そちらのお薬ももらいました。(その際もらった便秘の薬についてはこちらの記事をご覧ください)
まとめますと、肛門嚢炎の治療としては、
- 肛門嚢内の分泌内容物の絞り出し
- 薬として抗生物質の投与
以上の処置を行ってもらいました。
但し、先生によっては、洗浄をしたり、傷口が大きい場合は縫ったり、繰り返す場合は肛門嚢を摘出したりと外科的な処置をとることもあるようです。
うちの子の場合は、まだ肛門嚢が完全に破裂していなかったので、腫れあがった肛門嚢に針でぷすっと小さな穴を1か所開けることで処置しました。
そのため、傷口も小さく(とはいえ、のちのちぽっかりあいていましたが)綺麗だったので、液体を絞り出して化膿を防ぐという処置だけで済みました。
自分で肛門嚢を噛みちぎってしまって破裂している場合など、傷口がきれいでない場合や、裂傷が激しい場合は、傷を縫う必要が出てきてしまいます。
そのため、極力猫に肛門嚢を噛みちぎられる前に病院に連れてきてあげる方が、猫としても人間のふところ事情としてもいい、と先生からうかがいました。
1回はあえて破裂後に病院へ連れていきました。(別記事にて詳細はお話しています)
実は、くろくんが2回目の肛門嚢炎になった際、病院で肛門嚢に穴をあけて中身を抽出してもらいましたが、1回目とは違い、何か所か穴をあけられました。
そのため、傷口が大きくなってしまい、1か月たっても穴が塞がらず、ホッチキスのようなもので傷口をバチン!と止められてしまう、という悲しい結末を迎えてしまいました・・・
少しでも早く塞がらせるために、とのことでしたが、麻酔なしで傷口をホッチキスで閉じられているのは、とても痛そうでした・・・
だいたい、我が家でいつも肛門嚢炎を発見するきっかけは、お尻をずっとなめていてお尻回りの毛が薄くなっている・かなり毛が濡れている、ということです。
ですので、もしも猫ちゃんがお尻を執拗に舐めている場合は、要注意ですよ!
気になる肛門嚢炎の治療費
気になる治療費の詳しい内訳を記しますね。
初診料・・・1000円
薬事料(処方箋代ってことでしょうか?)・・・500円
処置代(肛門嚢を絞り出した行為に対して)・・・750円
お薬代(アモキシシリン錠・抗生物質みたいなものですね)・・・1120円(14錠)
※おそらく1日2回与えてくださいとのことだったので、1週間分ですね。
しめて消費税込みで3370円でした。
あとは今後の通院費(診察費・再診料とお薬代)がプラスでかかってくる感じですね。
内訳は、再診料が500円、薬事料が500円、お薬がまた追加で1週間分(14錠)1120円ですね。
ちなみに、うちのくろくんは、このときは保険に入れていなかったので、すべて実費・全額負担での値段です。
肛門嚢炎・肛門嚢破裂のその後の経過観察
病院に行った日から1週間経ったら、また病院に来てくださいね、といわれてその日は家に帰ったのですが、病院につれていった次の日、
これ、やっぱ縫わなくちゃいけないんじゃないの・・・ってくらいに、前日よりもひどくなっていました。
まあまあ生々しいので見たい人だけ自己責任で「実際の傷口の写真」の部分をクリックしてね。
そして床にこんなものが落ちていました。(気持ち悪いので見たくない人は気を付けてください)
これが膿として溜まってたんでしょうか。可哀想に・・・
液体が出る子もいれば、個体が出る子もいるとのことでしたが、くろくんは液体を病院で絞り出され、家でコロンと上記のような個体が排出されました。
これが発見されてからは少しずつましになっていき、初診から1週間後の経過観察でも、先生から「もう大丈夫でしょう!」といってもらえました。(しかし投薬はさらに7日間継続、また1週間後に通院)
現在、罹患してから2週間が経過しました。傷口はこちら(見たくない方はスルーを)
当初に比べると、だいぶん傷口が小さくなって、よくなりました。安心しました。
我が家では早く気づいたので、病院に連れていきましたが、気付かず破裂し(自分でなめたり、かじったり、お尻をこすりつけたりしながら)そのまま自然治癒する子もいるようです。
もちろん、あっさり破裂すればいいのですが、破裂するまでが痛いようなので、見つけて痛そうにしていれば、すぐに病院に連れていってあげたほうがいいかなと思います(結局病院で超痛い目にあうのですが)
傷口も綺麗に破裂できた場合は、放置していても、破裂してから2週間から3週間経てば、自然とくろくんのように治ってくるとは思います。
(くろくんは3回目が自然破裂でしたが、きれいに治りました)
しかし、傷口が化膿する恐れもありますので、基本的には病院で抗生物質などを出してもらった方が良いと思います。
気になる肛門嚢炎・破裂の予防法は?
私の病院の先生曰く、いつなるかわからないから予防しがたい、とのお話でしたが、少し調べてみました。
- 定期的に分泌物を絞り出す
- 便秘にならないように気を付けてあげる
肛門絞りはわんちゃんではオーソドックスのようで、シャンプーのついでにおこなったり、飼い主が定期的に絞ってあげる、または病院で獣医さんにお願いするなどの処置をしているようです。
猫ちゃんも飼い主が肛門絞りをするように促す情報もある一方で、素人がやるのはあまりよくないとの情報もありました。
一度獣医さんに合わせて相談するのが確実でいいと思います。
ちなみに私の通っている獣医さんに聞くと、自分でやらずに病院に連れてきてください!と言われました。
先に述べた通り、便秘だと肛門嚢から分泌液を上手く排出できずに溜まっていってしまう確率があがります。
よって、日頃から便秘にならないように気を付ける・もしくは便秘で悩んでいる人は病院で相談して処置を受けるのをおすすめします。
ラクツロースというものです。
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その後、お食事をあるフードに替えたことで、完全に便秘から解放されました^^
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かかりつけの獣医さんに聞いてみたところ・・・
肛門絞りをした方が良いかどうかを見分ける方法として、「便秘気味である」ということ以外にも、「お尻を床などにこすりつけている猫ちゃん」は注意が必要なのだそうです。
実は、この行為はお尻を擦りつけることで分泌液を出そうとしているんだそうです。
こうして出そうとしている子は、排便の際にスムーズに分泌できていない証拠なのだそうです。
なので、もしかしたら今後、肛門嚢炎や肛門嚢破裂を起こす可能性があるということでした。
お尻をこすりつける行為が見られたら、病院に連れていって肛門絞りをしてもらうことで、未然に破裂を防ぐことが出来るそうです。
特に問題ない子は、普通に排便の際に分泌できるので、お尻をこする行為などもしないのです。
猫の肛門嚢炎と肛門嚢破裂には注意しよう!
本日は、くろくんの肛門嚢炎・肛門嚢破裂の実際の体験談をお話してみました。
もし、同じような症状で困っている人の参考になれれば嬉しいです。
いつなるか、誰がなるかわからない肛門嚢炎。
知識をつけていざという時に対応できるようにしておきましょう。
この肛門嚢炎の発症から半年後、そして1年後に、計3回も、くろくんは肛門嚢炎を再発してしまいました。
3回目は特に壮絶な経過でした・・・
その際の状況をまた改めて記事にしました。是非あわせてごらんください。
ちなみに・・・
この時お薬を通算14日間、計28回分処方されたのですが、くろくんは毎回お薬を飲むのを嫌がりまして・・・
色々試行錯誤していたのですが、そんな猫ちゃんのために良いグッズを発見しました!!
もし同様に投薬に困っている方は、詳細を紹介しているので、是非試してみて下さい!
また、便秘が肛門嚢炎の原因にもなりうるということでしたので、便秘で悩んでいる方はこちらも参照ください。
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